2012年10月1日更新 著者 出川 雄一(障がい者就労研究家)



盲導犬サフィーが交通事故に・・・ 裁判で育成費用を勝ち取る事はできる?

2005年、痛ましい事故が起こりました。
横断歩道を歩いていた70代の視覚障がい者の方が大型トラックにはねられてしまったのです。


しかし、一緒に歩いていた盲導犬のサフィー(6歳、ラブラドルレトリバー)がクッションの役割を果たしたおかげで、視覚障がい者の命に別状がありませんでした。


サフィーは即死だったそうです。


サフィーがご主人様をかばい、自分の身を投げ出してかばったのではないか?このように伝えられています。


この事故で注目されたのは犬に対する価値でした。
運送会社が提示した示談金はたったの20万円だったのです。(新しい子犬の代金が10万円)+(諸経費が10万円)


法律上、犬は物扱いとなるので、一匹の犬の価格を示談金として提示してきたのです。


飼い犬が交通事故!慰謝料は取れますか (安田雑学526参照)


これに異議を唱えたのが中部盲導犬協会です。
トラックの運送会社に対して総額607万円裁判を起こすのです。


その内訳は1頭当たりにかかった費用(約388万円)+慰謝料(100万円)+その他 です。


果たして裁判の結果は・・・・
2010年、地方裁判所で判決が下されています。


裁判長
「盲導犬は視覚障がい者の目の代わりとなり、精神的な支えともなっている。その価値は白杖とは明らかに異なり、育成に要した費用をもとに考えるべきだ」とし、294万円の支払いを命じたのです。(慰謝料は認められませんでした)


この結果、「盲導犬はモノではありませんよ」 と司法の場で実質的に認められた結果となりました。 (盲導犬が特別な存在として認められた初めての裁判となりました)


サフィーの冥福を心よりお祈ります。 出川 雄一 (福祉ジャーナリスト / 障がい者就労研究家)


    


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