2013年4月3日更新 著者 出川 雄一(障がい者就労研究家)



境界性パーソナリティ障害の診断基準とは?

境界性パーソナリティ障害とはいったい何だろう? → 境界性パーソナリティ障害とは何ですか? ということで、この障害の本質について追及しております。


今回は境界性パーソナリティ障害の診断基準について調べて見ました。


約36,000名もの会員数を誇るアメリカ精神医学会。
この学会が公表している ”精神障害の診断と統計マニュアル” によると、下記の9つの状態のうち、5つに該当するものが存在すると、境界性パーソナリティ障害と診断する!とされているのです。


その症状とは


①見捨てられることを避けようとし、なりふりかまわない努力をする

「自分は見捨てられるのではないか?」という恐怖心。その理由は自分にあるのではないか?という自己否定感。 一人でいるのが耐えられないので、是が非でもつなぎ止めたいとする気持ちから、様々なアクションを起こします。 リストカットや自殺をすることもあるようです。


幼少期、自分は親から見捨てられるのではないか?このような不安な気持ちを抱いた人に多く見受けられるようです



②時には賞賛、時にはこき下ろす。という両極端な気持ちで心が揺れ動く。

相手を気に入ると、様々な事を分かち合おうと賞賛する態度を示してきます。この賞賛は、「私もアナタが好きだから、アナタも私を好きになって」 という意味も含まれています。しかし、自分の理想とかけ離れると、今度は態度を一変し、相手をこき下ろす態度を示します。 


③アイデンティティが混乱して、自分像がはっきりしない

アイデンティティとは、「同一性」 ・ 「個性」 などと訳されます。 自分は他人と違ってどのような個性をもっているのか? その個性を自分の中で認識できている状態。(自分とは何者なのか?) を表す時に使われます。

このアイデンティティが混乱して、個性が劇的に急変し、コロコロ変わってしまいます。お偉いさんとお話をする時と、友達とお話をする時では態度が少し異なります。それ自体は問題ありません。


しかし、自分自身に対して、その感覚がコロコロ変わってしまい、自分像がはっきりしない状態が現れます。 (好きな相手に対して、付いたり離れたりを繰り返す。等)



④衝動的な態度を示す

衝動とは外から刺激を受けて心を動かされる事をいいます。
「衝動買い」・「衝動的な性行為」・「衝動的な薬物乱用」・「発作的な過食」・「リストカット」・「ケンカ」・「ギャンブル」・「無謀運転」 など、衝動的な態度が現れます。



⑤自殺行為、自傷行為、脅しなどを繰り返す

自傷行為は死にたいから行うのではなく、現実から一瞬だけでもいいので逃避したい。または、相手をつなぎとめたいとする気持ちのあらわれです。


一説によると、境界性パーソナリティ障害の約7割以上の方が自傷行為に、また欧米では8%~10%の割合で自殺に至っているとされています。



⑥気分による感情不安があからさまに現れる

主に対人関係でストレスなどを感じると、怒りやパニック状態に陥る事があります。



⑦慢性的な空虚感

対人関係の破綻など、激しい感情が揺れ動いた後に、「生きていても仕方がない」・「自分には何もない」と空虚感に苛まれてしまいます。(うつ病を診断されてしまうケースもあります)



⑧不適切で激しい怒り、怒りの制御が困難

激しい感情をコントロールするのが苦手です。急に怒りを爆発させて、暴言を吐いたり、物を投げたりします。



⑨ストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状

解離性とは自分自身であるという感覚がなくなっている状態をいいます。自分が誰なのか?理解できていなかったり、様々な人格(多重人格)が現れたりする状態です。この心理状態は、辛かった過去の自分から逃避するために、つまり自己防衛で行われるものと考えられています。


妄想とは、根拠もなくあれこれ想像する事をいいます。どちらも一過性のもので、数分から数時間程度で解消されます。



ではでは、境界性パーソナリティ障害の人に対して、周りの人はどのように接すればいいのでしょうか?という事で、この障害の本質とその解決方法について、次のレポートでご紹介いたします。 出川 雄一 (福祉ジャーナリスト / 障がい者就労研究家)


    


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