2014年2月1日更新 著者 出川 雄一 (福祉研究家)              このエントリーをはてなブックマークに追加  




福祉資本主義とは何ですか?

障がい者が働ける環境を作りたい。


点字名刺プロジェクトを立ち上げたのが2007年9月でしたので、気が付けば、7年以上の月日が経過いたしました。 当初、このプロジェクトと並行して立ち上げたのが、知的障がい者施設で作った商品を現金で仕入え、インターネットで販売するというものでした。


立ち上げてみて思ったこと。
それは、障がい者の方が働きたいという意欲があるにもかかわらず、働く環境が整っていない点でした。 当時、知的障がい者の方に喜ばれたいという一心で、売れていないのにもかかわらず、いっぱい仕入れておりました。


「効率面」や「能率面」
どうしても劣ってしまうので、利益を追求していく現在の資本主義では、排除されるのが世の常です。



軽度の障がい者の方なら、上記の仕組みで働けます。しかし、重度の障がい者の方は厳しい現状が待ち受けています。


現在、国の政策は障害者雇用促進法を用いて、障がい者の方を資本主義の枠の中に押し込めようとするものです。現実問題、このやり方でなければ障がい者雇用は増えませんし、


「障がい者が現状の資本主義に合わせる事こそが大切なことなんだ!」 こんなマインドに支配されています。


しかしながら、私はこのスキームとは別のものを作る事で、障がい者就労を実現しなければいけないのではないか?と考えている人間でございます。


戦争中において、障がい者の方が社会から差別や偏見を受けてしまったのは、”戦争に役に立たない” というレッテルを張られてしまったからです。


このまま、障害者雇用促進法で資本主義の枠の中に障がい者の方を押し込むやり方では、雇用は増えるものの、能率や効率で劣っているために、差別や偏見はぬぐえません。


また、TPPの問題等、国際間競争が激化すれば、市場原理主義の波にさらされ、一番最初にはじかれてしまうのが弱い立場の方たちです。


50年先、100年先における障がい者雇用における福祉ビジョン!今のうちに、自立した経済スキームを考えておかなければ、差別や偏見はぬぐえません。



今の資本主義。枠の中に入り込めるのは軽度の障害をお持ちの方です。しかし、重度の障害をお持ちの方でも働ける環境を実現させるためには、福祉資本主義という枠組みを新たに作る事が大切です。点字名刺プロジェクトは障害者手帳一級の方(全盲)も働いています。


福祉と資本主義を結びつけ、障がい者の方が障がい者らしく働けるための経済体制を作りたい。このような気持ちを簡単に表す単語として、福祉資本主義という言葉を使う事にいたしました。


例えば、点字名刺プロジェクトは、視覚障がい者(障がい者手帳一級)がお客様のお名刺に点字を刻印するサービスです。目の見える方が点字を刻印しても、何の価値も生まれません。視覚障がい者の方がお仕事として点字を刻印しているからこそ、社会貢献としての価値が生まれます。


福祉資本主義とは、障害があったとしても100の力を出し切れる経済体制です。


例えば、知的障がい者が民間の企業で働くとします。障害を持っていない従業員の力を100とすると、知的障がい者はどうしても100を出し切れる能力はありません。


仕組み用いて、100にするのが福祉資本主義の本質です。


障がい者が現状の資本主義経済にあわせるのではなく、点字名刺プロジェクトのように、社会が障がい者にあわせたお仕事を作っていく。ありのままの姿で働く事こそが本来のあり方だと考えています。


それでは、様々な観点から福祉資本主義の実現について考えてみたいと思います。 (福祉研究家 出川 雄一)


    


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