2014年6月22日更新 著者 安田泰淳(福祉研究家)            




NPO法人(社会福祉法人)と民間企業!本質的な違いとは?

そもそも、NPO法が施行されたのが1998年です。
NPO法人とは、社会貢献活動を行っている市民団体に対し、法人格を与えましょう!という性質のものです。


法人格とは、法的にその組織に対して人格を認めましょう!というものです。例えば、法人格をもっていると、団体名で口座を所有する事が可能となります。 


一方、法人格を持っていない団体は任意団体となり、団体名で財産を所有する事ができない決まりになっています。また、法人格をもっていないと、団体名義で契約をする事ができない決まりになっているので、メンバーの個人的負担が大きくなってしまいます。


社会福祉法人は認可制です。
認可制とは、基準があるものの不明確な点が多く、行政側の担当者の判断で、その是非が決まってしまう制度です。


一方、NPO法人は認証制です。
これは、行政側の裁量が存在せず、基準に従って書類を提出し、条件を満たしてさえいれば、認めざる負えない制度となっています。


今まで、志があったとしても、認可制である社会福祉法人を作る事がきわめて難しかった点があげられます。 しかし、NPO法が施行されてから、誰でも簡単に法人格を持つことができ、これがNPO法人の魅力となっているのです。


また、社会福祉法人とは社会福祉を向上させる法人です。
個人や家族ではどうしても解決できない事がいっぱいあります。そういう問題を社会的(組織的)に解決していきましょう~!というのが社会福祉の本質です。


むかしむかし、日本の農業はみんなで一緒に田植えを行い、みんなで一緒に収穫をしていました。収穫したものはみんなで分けていたのです。では、集落の中に病人が出たらどうしたでしょうか? 


やはり、収穫した食べ物を病人にも分け与えて暮らしていたのです。


しかし、時代は変わりました。
現在の農業は基本的に個人で収穫したものが個人の収入になっています。もし、Aさんが病気になってしまったら・・・ そこで、国(組織)の出番となってきます。昔の集落のように、国民から徴収した税金をAさんに渡して最低限の生活を保障しているのです。 


「個人レベルではどうにもならない・・・」 これを、様々な組織(社会全体)を通じて解決していこうではないか! これが社会福祉となっています。


前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
NPO法人(社会福祉法人)と民間企業の決定的な違いです。


どちらかというと、前者であるNPO法人は農耕民族的な組織。つまり経験豊富な長老が存在し、調和を用いて組織を束ねていく事が大切になってくるものと考えています。


一方、後者である民間企業は狩猟(しゅりょう)民族的な組織。つまり、狩りを行う事で市場からお金を調達し、組織を束ねている集団です。


このNPO法人や社会福祉法人は農耕民族的組織ですので、市場経済からお金を調達する。そんな狩猟民族的な活動は、本質論で考えた時に極めて厳しい現状にあるのではないでしょうか?


しかし、50年先の障がい者就労を考えた時、たとえ重度の障がい者の方であっても働ける環境を作る事が大切であり、その仕組みづくりが必要になってきます。


日本が経済的に発展した理由!
その一つは、渋沢栄一が唱えた道徳経済合一説が関係しています。 → 日本資本主義の父!渋沢栄一ってどんな人?  狩猟の性質がある資本主義。これに、農耕民族が大切にしていた道徳心を融合させた経済を訴え、この道徳経済が今の日本経済の繁栄に繋がっていると考えています。


相反するものを融合させることで新しい文化が作られる・・・。
NPO法人(社会福祉法人)と資本主義を融合させ、新しい資本主義(福祉資本主義)を作っていくには、どのようなスキームが大切なのでしょうか?という事で、次のレポートへと続きます。 (福祉研究家 出川 雄一)


    


福祉資本主義5へ 21世紀!障がい者就労の方向性とは?